介護職の専門性とは何か?【専門性がないという介護士に向けて】

介護職に専門性はあるか?という問いがツイッター上であったので、
以下のツイートを行いました。

注釈:ジョブシステムでいう「すっぴん」とは、
ゲームソフトのファイナルファンタジーで採用された職種「すっぴん」を指す。
最初は武闘家や魔法使いの方が強いが、
様々な職業を経験することで、
最終的には「すっぴん」で戦うのが最強となる。
様々な経験を踏まえて働くことをすっぴんの強さと例えた。

それから、
改めて介護職の専門性で調べたところ、
介護職で専門性があると思う人の意見が非常に考えさせられたので、
今回は専門性がないと思うに至った思考を紐解きつつ、
専門性がないと思う介護職はスタンスとして問題なのではないかという主張を展開します。

①介護職に専門性がないと同調した理由
②専門性があるとする理由
③専門性がない仕事があるか?

①介護職に専門性がないと同調した理由

医師や看護師、理学療法士などは専門性があると誰もが認めているでしょうが、
一方、介護職は、
底辺とかクズとか誰でもなれる仕事と言われ、
資格がなくても働けることから専門性がないと言われたり、
思っている人が少なからずいるのが現状でしょう。

自分も介護職で6年働いて、
自分の仕事に自負がありますが、
専門性があるかと言われると大仰な気がして、
専門性がないと言った方が素直に受け入れられたため、
ないと思った方が色々と発想を転換できるのではないかと思って上記ツイートをしました。

このツイート時点では「ない」と言うことの社会的な影響力とかは考えていなくて、
単純に利用者さんのために必要な事をできることが大事なのでは、
という思いでツイートしたのですが、
それが軽率だったのではと思ったので、
次に専門性がある理由を述べていきます。

②専門性があるとする理由

介護職は肉体労働であると同時に、
頭脳労働でもあり、
感情労働でもあると言われます。

肉体労働とは、
利用者さんを介助して入浴をお手伝いしたり、
自分で排泄ができない利用者さんの排泄介助をしたり、
食事の配膳を行ったりと職員が実際に動いで介助することを指します。

利用者さんの体を支えながら一緒に食堂に移動する移動介助も同様です。

政府や有名人が介護職を単純労働だと言い続けるために、
世間では介護職が単純労働だと思われている節がありますが、
介護職は肉体労働一つとっても、
蓄積された技術と知識を踏まえて行われています。

ベッドから車椅子に移乗する際にも、
体の重心をどのように移動させると利用者さんに負担なくできるかという視点と、
利用者さんの残存能力を活かせるかという視点を持って、
手伝いすぎないように移乗介助するのが優れた介護職の技術となります。

実際に移乗介助をしているところを知識のない人が見ただけでは、
どれだけの力を利用者さんが自分の脚に掛けたか、
職員がどれだけ力を使ったかを知ることはできません。

職員自らが体験して、
利用者さんがここまでふらつきなく足に力を入れて、
手にも力を入れて立ち上がってくれたから、
次からはここまでしか手伝わないようにしよう、
といった判断を日々行い、
今日は体調が悪いのか、
あまり力が入らないからがっつり手伝うか、
といった判断をしています。

ケアプラン上では一部介助と書かれてあったりして、
経験者の介護職は一部介助という言葉から想定される、
あらゆる体の動きを漠然とイメージしながら、
利用者さんと対面しています。

肉体労働であると同時に頭脳労働でもあるのが介護職です。

頭脳労働についてもう少し説明しましょう。

先ほど利用者さんの残存能力を活用するという話をしましたが、
もし利用者さんの残存能力を活用しなかったらどうなるかというと、
利用者さんの日々の生活は全て、
介護職がいなくては成り立たなくなります。

本来ならば自分でトイレで立てていたはずが、
残存能力を活用した介助を怠ったがために、
利用者さんは自分で立つこともできず、
その負担は介護職にふりかかります。

なぜ介護職は残存能力を活かせるような介助をできなかったのでしょうか。

知識がなかったのでしょうか?

利用者さんの状態が日々変化して、
残存能力を活かせるような時があまりなかったのでしょうか?

それとも、
職員の時間効率を優先して、
利用者さんの残存能力を活かせなかったのでしょうか?

知識があっても、
やらなくてはいけないことが多すぎた場合、
職員は一人一人のADLを考慮して、
残存能力を意識してといった配慮ができなくなります。

介護職のマンパワーには限界がありますから、
また、
利用者さんで常にリスクある行動をする人とか、
弄便をしてベッドやシーツを毎回汚す人や、
ナースコールを頻繁に押す人の対応をしなくてはいけないと、
とにかく仕事を終わらせなくてはいけないという思考になってしまいます。

いつ転ぶのか分からない利用者さんの動向に目を見張りつつ、
つぎいつ利用者さんの排泄介助に入ったら弄便しないかを計算して、
定期的に入ってくる他の利用者さんの排泄介助などをこなしつつ、
限られた時間の中で介護職は働いています。

その中で知恵を絞って対策を練ったりしていますが、
ままならない時は多々あります。

日々起こるハプニングや事故にも対応しなくてはいけませんから、
それをある程度予測しながら介護職は動いています。

自分の中にある程度の時間的、精神的な余裕を作りながら、
ここまでなら何かあっても大丈夫と思いながら動いています。
介護職だから医療的な知識は不要かというとそんなことはまったくなく、
看護師と連携しながら褥瘡の発生を未然に防いだり、
事故発生時の対応や、
緊急対応、日々のバイタルや服薬について、
様子観察などでも観察力と共に医療的な知識も求められます。

医療的な知識以外も求められます。

特別養護老人ホームに入れるのは要介護3以上の利用者さんだけですし、
有料老人ホームでも要支援の人は入れないなど、
介護保険の制度などをある程度知っていなくてはいけません。

単純労働だから誰でもできる仕事ですよと政府がPRするのは、
介護職を分かってて言っているのであればPRの方法を考え直してほしいですし、
知らないで言っているのであればやめてほしいです。

介護職は誰にでも始められる仕事なだけで、
利用者さんの生活と命を預かる大切な仕事です。

専門性がないというのはお門違いです。

最後に感情労働について説明します。

介護をしていて一番難しいと感じるのは、
利用者さんに向き合う事だと思います。

話せば分かってくれる方がいる一方で、
利用者さんの思いを受け止められないこともしばしば起こります。

帰りたいと訴える利用者さんに対して、
施設から外にお連れすることは基本的にできませんから、
何とかして納得してもらうしかないのですが、
自分が勝手に連れてこられたと思っている利用者さんには、
施設に居続ける理由はありません。

その方からずっと帰りたいと言われ続けた場合に、
何と答えるのか、
何と言えばいいのか、
それは利用者さん毎に異なるので正解はありませんが、
一般的には傾聴をしましょうと言われます。

相手の思いをまずは受け止めましょう。

その上で、
「ご家族さんに相談しておきますね」
とか、
「管理者に言って連絡しておきますね」
とか、
利用者さんの発言の意図を汲んだ返事をするのが望ましいです。

間違っても、
「うるさい!」
とか、
「今は黙ってて」
といったら利用者さんの不穏をかきたててしまいます。

今何をしなくてはいけないか優先順位はあると思いますが、
利用者さんの不穏を放置していいわけはありません。

「何分後にはお話を聞きますから今は○○をさせてください」
と交渉するなど、
何らかの対応をするほうがいいでしょう。

不穏の方への対応もそうですが、
認知症の利用者さん、
認知症と診断されていなくても、
自分は何でもできるから干渉してくれるなという利用者さんに対して、
お風呂に入りましょうとか、
おトイレに行きませんかと安易に言って、
簡単に断られたりします。

サービスを提供する側として、
相手ができないからこそその時間帯に入っているので、
サービスを提供できない以上、
オムツの確認ができないから汚れたままになって、
それが褥瘡に繋がって、
最悪ADLの低下に繋がりかねないという、
その利用者さんに不利益が発生します。

入浴していただけないということは、
不潔な状態で食堂に来られたりするため、
他の利用者さんのクレームにも繋がりますし、
そうでなくても利用者さん本人の身体を清潔にしなかったことで、
何らかの病気に繋がってしまうかもしれませんし、
体に傷があったとしても発見が遅れてしまいます。

利用者さんを不快にさせないようにしつつも、
利用者さんに介助を了承してもらうためには、
日々のコミュニケーションだったり、
お声がけが不可欠です。

③専門性がない仕事があるか?

肉体労働、頭脳労働、感情労働が介護職には不可欠な能力であり、
だから介護職は専門性があると言えるますが、
そもそも専門性がない仕事があるでしょうか?

ここで仮に、
介護職に専門性がないと主張する職員がいたとします。

「僕らは介護職をしています。
介護職は誰でもできる仕事だから、
専門性なんてありませんよ。」

とご家族さんに説明できるでしょうか? 

また、そんな介護職しかいない施設に、
ご家族さんは大切な利用者さんを預けようと思うでしょうか?

介護職に専門性がないと主張する職員は、
自ら介護職に専門性がないということで、
自分の責任を放棄してはいませんか?

もし責任を自覚していて、
するべきこと、考えることを把握しているならば、
利用者さんやご家族さんに、
自分の仕事を

「専門性はないと思います。だって誰だってなれますから」

と言うのでしょうか?

私はありえないと思いますし、
そのことを別の介護士さんがユーチューブ上で指摘されていて、
専門性がないと発言する事自体に問題があると思うようになりました。

よって私を含めた介護職の皆さん、
皆さんは利用者さんの人生と命を預かる大切な仕事だと改めて認識して、
日々の仕事を楽しんでいきましょう。

自分が選んだ仕事が天職だと、
私はほんの少しだけ思っています。
この思いを育てて、
自信満々に言えるようにします。

頑張りましょう(^^♪