利用者の知的好奇心を刺激する【利用者さんの思いに耳を傾けましょう】

アクティビティやレクリエーションで、
利用者さんの知的好奇心を刺激する事はできるでしょうか?

結論から言えば、できるでしょう。

新しい事を受け入れられるだけの余裕、
余力がある利用者さんならできるでしょう。

では、余裕、余力とは具体的に何でしょうか?

それは利用者さんが対象を不思議に思ったり、
疑問に思ったり、面白がったり、笑ったり、
他の人と話が出来たり、相手の話を覚えていたり、
自分のしたいことを言葉にできたりすると知的好奇心を刺激しやすいでしょうが、
全ての利用者さんが上記の能力を持っているわけではありません。

認知症の利用者さんだと相手の話を覚えていられないのが普通ですし、
歩けない利用者さんだとより出来ることが減ってしまいます。

アクティビティやレクリエーションで、
歌や計算、国語のプリント、体操や書道、外出などがありますが、
ある程度喋れる利用者さんの場合、
そんなことをしたくないと思う人もいます。

お金を掛けずに皆が楽しめることをしようと歌やプリントを用意しても、
利用者さんの理解力や記憶力などは様々なため、
皆に合わせようとするとどうしても難しいことはしにくくなります。

利用者さんごとにレクリエーションを用意できれば理想でしょうが、
日々の利用者さん複数を対象にしたレクリエーションで難しい事をできる人に合わせてしまうと、
多くの利用者さんがついていけなくなってしまいます。

①認知症の大家 長谷川和夫さん
②塗り絵のできる利用者さん

①認知症の大家 長谷川和夫さん

認知症専門医として50年近く、
日本の認知症診療を牽引してきた精神科医の長谷川和夫さんも、
ご自身が認知症となった後で、
自ら意義を唱えていたデイサービスへ通うことを拒否されました。

このニュースを読むまでは、
長谷川さんは認知症の大家だから
「お遊戯」と言われているデイサービスになど行きたくないと思っていましたが、
記事を読んで見えてきたことがあります。

利用者さんが本当に求めていることは、
自分の事を理解してくれる人であり、
長谷川さんがデイサービスに行きたくなくなったのも、
一人になりたくなかったからでしょう。

デイサービスには他の利用者さんも職員もいます。

どれだけ他人がいても、
そこに自分を理解してくれる人がいなければ、
ひとりぼっちであるのと同義です。

「妻の負担軽減のために利用を続けてはどうかと勧める娘に、
ぽつりと、自分が死んだら喜ぶのではないか、
ホッとするのではないか、
と(長谷川さんは)漏らします。」

「みんなに負担をかけているという自覚はある」
と語る長谷川さん。

周囲に自分の思いをわかってほしい。
しかし、周囲の負担にはなりたくない。
負担が大きくなったら、
自分などいないほうがいいと思われるのではないか。

これは、認知症のある多くの人が、
同じように感じている不安です。

葛藤の中にある、認知症をもつ人の思いに耳を傾ける

筆者は、心理士として勤務するクリニックで認知症のある人に接すると、
しばしばこうした思いを感じます。

自分の思いをわかってほしい

――でも、うまく言えない/言ってもどうせわかってもらえない

本当はこうしたい

――でも、言ってもどうせ通らない/周囲の負担になるから言いたくない

そんな葛藤の中で、
認知症のある人は生きているように感じます。

介護士は家族の代わりにはなれない、
とはよく言われますが、
アクティビティやレクリエーションを行う前に、
まず利用者さんがどういった人なのかを思いやることが必要でしょう。

利用者さんの人となり、
思いに耳を傾けることができれば、
利用者さんの知的好奇心を刺激する土壌が整うでしょう。

②塗り絵のできる利用者さん

午後のレクリエーションで塗り絵が施設一階の食堂でありましたが、
その塗り絵に会話ができるクリアな人の中でも、
特に要望の多い人が参加していました。

この利用者さんにも他の人と同様に2枚の塗り絵が提供されていました。

一枚は桜の花びらのイラスト、
もう一枚は小鳥が枝にとまっているイラストです。

この利用者さんにこの2枚では足りないのでは? 

満足できないのではと思って、
後日iPadで好きなようにイラストを描けるほうがいいのではと提案してみました。

ご本人はそこまで乗り気ではなく、
どちらかというと自信がないと言われていましたが、
その時、
自分がニンテンドー3DSとイラストが描ける『新絵心教室』を持っていたことを思い出しました。

それをお試しでやっていただくことはできるわけで、
利用者さんに家からニンテンドー3DSと『新絵心教室』を持っていくことを約束しました。

久々に3DSの充電をして準備を整えてから、
翌日その利用者さんに渡しに行きましたが、
利用者さんから息子さんが色々と持ってきてくれたものがあると言われたので、
そちらを優先するようにお答えして3DSを持ち帰りました。

利用者さんの事をよく分かっている、
気にかけている息子さんが色々と持ってきてくれたのなら、
まずはそれをして息子さんとのコミュニケーションを円滑にしたほうがいいと思ったためです。

その後、息子さんからのものを見せてもらいました。

一つはB5のムックで、
いわゆる脳トレにあるような国語の問題や、計算、言葉のパズルなどが載っていました。

残りは木枠の中にある王将を枠の外に出すのを目的にしたパズルで、
縦長の金や小さな歩などを動かして奥にいる王将を外に出すことができればゴールというものでした。

もう一つも、
数字を木枠の中で並べ替えるものでした。

息子さんからのものの中には塗り絵のようなものがないと分かったので、
利用者さんに
「これで足りないなら言ってください。また3DSを持ってきますから」
と伝えました。

利用者さんから「色々とありがとう」と言われたから、
少しは利用者さんのためになったのでしょう。

今の現場は午前、午後と、
排泄介助や入浴介助、リネン交換、居室清掃、お茶出しなどが入ってくると、
なかなかレクリエーションに人員を当てることができません。

昨日はレクリエーションを一時間以上行ったあとで、
実はリネン交換をしなくてはいけなかったと指摘されましたが、
もし分かっていたらレクリエーションをしないでリネン交換してよかったのでしょうか?

時に急遽休む人も出てくるから、
限りなく少ない人員で回っている日もあります。

リネン交換を重視して利用者さんのベッド周りの清潔を保つのは大切でしょうが、
レクリエーションやアクティビティがどうでもいいわけではないでしょう。

バランスや重要度を考えながら仕事を進めていきたいです。

頑張りましょう(^^♪