介護職に夜勤を一人でやらせるな!【一人夜勤が介護士を壊す前に】

あなたは牛丼屋で、
店員が店内で眠りこけているのを見たことがありますか? 

客席の一つに体を預けて壁に頭を付けて、
深い眠りに入っている姿を。

これは過酷な労働環境をたった一人で長時間させ続けた結果、
店員が力尽きて寝てしまったワンオペの事例ですが、
飲食業ではワンオペレーション=一人勤務が世間で騒がれたことで、
業界的にもワンオペをさせない流れになりつつあるようですが、
医療業界、介護業界でそれが大きく取り上げられることはありません。

取り上げられないのは問題がないからでしょうか? 

違います。

事件が発生しないと社会問題化されないだけです。

https://twitter.com/geesan29/status/1191723208514449408

私が今まで経験したデイサービス、
有料老人ホームでは一人夜勤はありませんでしたが、
ツイッターで
「介護 一人夜勤」
で検索すると、
利用者さん20人~50人を一人で対応しているという事例が次々と出てきます。

牛丼屋でワンオペが問題になっているのに、
なぜ利用者さんの命を預かる介護業界では一人夜勤が問題にならないのでしょうか? 

誰か被害に遭わないと問題として取り扱ってはもらえないのでしょうか?

人の命と健康を預かる医療業界、介護業界でワンオペが、
一人夜勤が問題ないわけがありません。

ここで夜勤を一人で行うリスクを考えていきます。

●一人夜勤廃止にすべき理由

①常に不安と危険の隣り合わせ
②緊急で何かあると対応しきれない
③同時にコールが鳴ると厳しい
④離設されたらほぼアウト
⑤死亡者が出ても気づけず時間のロスがでる確率高し

①常に不安と危険の隣り合わせ

介護の現場では、
身体拘束は原則禁止です。

禁止なので、
利用者さんは好きなように歩き回れるわけですが、
ふらつきのある利用者さんが毎日のように転倒して、
事故報告書があがっている現実をご存知でしょうか?

ほぼ毎日転倒しても大した骨折もなかったためにまた歩けていても、
いつかは大きな事故に繋がります。

よって現場としては事故が起こるたびに、
事故対策委員会が月に一回以上は開かれて、
事故を防ぐ方法を職員で話し合う必要がありますが、
転倒を防ぐ具体的な方法は何があるでしょうか?

職員が常に目配りを行う事でしょうか?

日中帯でも難しいのに、
一人で夜勤をしている中に常に目配りができると思いますか?

利用者さん一人だけを相手にしているわけではありません。

20名を対象に排泄介助、体調管理、
水分補給、様子観察、
不穏の方への対応、何度も鳴り響くナースコールへの対応、
弄便の後処理、緊急対応。

一人でこれらに対応できると本気で思っていますか? 

それで、利用者さんが転倒したら
「なぜ目配りしなかったのか? 転倒するリスクがある人だと知っていたはずなのに」
と言われるのが介護職員です。

転倒するリスクがあるなど十分承知してます。

でも職員はその人だけを見ているわけではありません。

利用者さんに対して、
「あぶないから歩かない方がいいですよ」
と言う事はできても、
それが通じる相手ではないから歩くのです。

②緊急で何かあると対応しきれない

夜勤に入った段階で、
利用者さんで体調不良の方がいれば、
看護師さんから気を付けて欲しいという申し送りがあります。

看護師さんからなくても管理者や日勤帯の職員から連携はあります。

それを元に夜間帯に定期的にバイタル測定をして、
健康に問題がないかチェックしなくてはいけない人を把握するわけですが、
時にそれまで元気だった人が急に体調不良になることがあります。

具体的には急性心不全とか転倒とかがそれにあたります。

それまで普通に生活されていた方に何かが起きたとして、
一人夜勤の職員が迅速に対応できるでしょうか?

ただでさえ毎時間何かに追われている介護士が、
普段元気な利用者さんの状態を見るのは3時間に一回だったりします。

全ての利用者さんにいつ、
どんな変化があるか分からないから一時間に一回、
いやいや30分に一回目配りを行わなくてはいけないのでしょうか? 

繰り返しますが一人夜勤の介護士が、
30分ごとに20名~30名の利用者さんを目配りして、
それだけではなく排泄介助、
不穏対応、ナースコール対応、転倒しそうな人の同行、
弄便対策などをできると思っているなら、
実際に現場で働いてみるのをお勧めします。

それがどれだけ非現実的なことか分かるでしょう。

③同時にコールが鳴ると厳しい

ナースコールが2件同時に鳴ることは珍しくはありません。

一人はよくナースコールを鳴らしてくる人で、
もう一人はよくナースコールを鳴らしてくる人か、
あまり鳴らさない人かもしれません。

あなたはこの場合、
どちらのナースコールに出るでしょうか?

あまり鳴らさない人のナースコールを優先するのではないでしょうか?

なぜなら、
いつも対応している人は直前にも対応していることが多いし、
そうでなくてもいつもの内容である可能性が高いからです。

いつもの内容とは、
「今何時ですか?」「ごはんは何時ですか?」
「わからなくなっちゃった」「どうすればいいですか?」
「用事はありません」「鳴っちゃった」
「何の用ですか?」などです。

しかし、時にはその方から
「転んじゃった」
というナースコールが来る場合もあります。

転倒の報告であるかもしれないナースコールと、
もう一件、普段掛かってこない方からのナースコール、
あなたはどちらを取りますか?

私でしたらやはり、
普段掛かってこない人からのナースコールを取るでしょう。

そちらの人の用件の方が聞かなくてはいけないと瞬時に思うからです。

④離設されたらほぼアウト

以前働いていた有料老人ホームは、
玄関が日中帯ロックされないポリシーがあったため、
利用者さんが家に帰りたいと言われると、
話を聞いたりして離設をされないように職員間で連携して対応していましたが、
ある夜勤時に利用者さんが非常口から外に出てしまったことがありました。

普段であれば非常口は鍵が掛かっているのですが、
その時は開いていたみたいで、
利用者さんはそこから非常階段を使って外に出て離設され、
数時間経ってから職員がそれに気づいて、
泣きそうになりながら探したという事がありました。

その現場は2人夜勤だったため探せたのかもしれませんが、
一人夜勤だったらどうでしょうか? 

離設した利用者さんを探してもいいのでしょうか? 

それとも施設に残るべきでしょうか?

管理者に連絡して指示を仰ぐのは当然として、
離設した利用者さんに何十分使えるかは議論が分かれるでしょう。

排泄もない余裕のある時間帯なら20分だけ探すというのも手かもしれませんが、
排泄も沢山入っていたり、
徘徊している人もいたり、
ナースコールも鳴っていてとなると、
探せる時間を捻出できなくなってしまいます。

いざこのような事態になってしまったら、
全てを管理者に丸投げしましょう。

マンパワーには限度があります。

現場の介護士はできることをやりましょう。

⑤死亡者が出ても気づけず時間のロスがでる確率高し

夜勤を一人で行う時点でできることは限られますから、
優先順位をつけて仕事をせざるをえませんが、
そんな中、
利用者さんが何か起きて亡くなってしまうこともあるかもしれません。

二人対応ならまだしも、
一人夜勤では定期的な目配りができるわけがありません。

見落としもあるでしょう。

過酷な状況に介護職をたった一人にして追い込んでおいて、
見落としやミスを責めるのはフェアじゃありません。

まずは人員を十分に確保していない管理者側に責任を問うべきです。

さて、どうだったでしょうか?

世間では介護施設の夜間帯は、
利用者さんが寝ているから職員は一人でも問題なく働けると思っている人がいるようですが、
そういう寝言は現場で経験してから発言していただきたいものです。

現場を知らない、知ろうとしない人でも、
一度でも過酷な現場を経験したら、
二度と言えなくなるはずなのです。

リスクしかない一人夜勤の現場がなくなれば、
介護職を離れてしまう人が確実に減ると思っています。

現場の環境を変えるために行動しましょう。

そしてどうしても変わらないなら、
転職を検討しましょう。

頑張ってください(^^)/