利用者からの暴力行為はなぜ黙殺されるのか?【介護士に人権はないですか?】

介護士が利用者さんへ暴行したニュースは広く取り上げられる一方で、
利用者さんから介護士への暴行はまったくといって話題になりません。
何故でしょうか?

介護士からの暴力行為は多くて、
利用者さんからは少ないのでしょうか?

私自身、
利用者さんから暴力行為をまともにされたことがなかったため、
今まで暴力行為を話題にしにくかったのですが、
ツイッターの内容があまりにも切実だったので、
まずはツイートを引用させていただきます。

利用者からの暴力行為が黙殺される理由は、
管理者や経営者が暴力行為を認めるだけのメリットを感じていないからでしょう。

メリットがデメリットを上回れば、
経営者や管理者は積極的に情報収集して対応するからです。

しかし、
ツイッターやブログで利用者からの暴力行為は語られますが、
社会問題とはなっていません。

日本のマスメディアは介護士からの暴力行為はニュースにしても、
利用者さんからの暴行が表に出ることはまずありません。

上司に相談しても取り合ってもらえない、
解決されない事に疲弊して業界を去ってしまう事例が、
少なからず起こっています。

今や介護業界は圧倒的な人手不足です。

介護職の人権を守る体制を作り上げないことには、
介護業界に人は増えないでしょうし、
人が増えない以上、逆説的ですが、
介護職の希少性は高まるでしょう。

これが日本社会の望んだ未来でしょうか。

ここからは

「暴力行為を介護士は防げるのでは?」

といった意見を取り上げて、
次に介護士として暴力行為が黙認、黙殺されている施設側、
管理者側に対してどう対応するべきかを書きました。

体と心が傷つく前に、
介護職を嫌いになる前に行動しましょう。

①言葉掛けや寄り添うことで暴力はなくなる?
②心構えや身体能力があれば暴力を避けられる?
③管理者に相談しよう
④証拠を残そう
⑤どこまでされたらどうするかを明確にしておこう
⑥複数人で対応しよう
⑦退職しよう

①言葉掛けや寄り添うことで暴力はなくなる?

「介護士の言葉掛けや寄り添い方によって、
利用者の暴力行為がなくなる」と言われる方がいらっしゃいますが、
実際に暴力行為をされる利用者さんのところにいって、
どう対応すればなくなるのか見せていただきたいものです。

ユマニチュードや目線などに気を配ったところで、
それらは万能ではありません。

突然に手を出てしまう利用者だって存在します。

それでも言葉かけが不十分だから手が出てしまうのだと反論するのでしょうか?

上に挙げた例でも言葉かけはしっかりと行っていたにも関わらず、
手が出てしまう方でした。

「暴力行為の原因を探って、
取り除くことで暴力はなくなる」

と言いますが、
原因が分かればそうしているでしょう。

それがうまくいかなくて、
介護士は肉体も精神も消耗しているのです。

介護士はどこまで傷ついても施設は何の対応もしないのでしょうか?

全ての対応を介護士に丸投げして、
介護士の人権すら軽視しているから職員が辞めるのです。

管理者は介護士を守ろうとしない事を恥じて、
今すぐに対策を行っていただきたいです。

②心構えや身体能力があれば暴力を避けられる?

既に暴力行為が露見していて、
ある利用者さんの援助に入る際は注意してとお達しが来ていれば、
介護職はそれを前提に介助できるものでしょうか?

では仮にあなたが毎週ジムにいって筋肉質だったとします。

柔道や合気道など武道の経験者で、
利用者さんの手や足が「見えていたら」
避けられるとしましょう。

もちろん利用者さんの見えていたら手が動いてきても避けられるかもしれませんが、
移乗や排泄など利用者さんの懐に近づいて介助しますから、
介助している時に暴力行為を前提にするわけにはいきません。

移乗介助時は特にそうです。

とっさに手を離したら利用者さんが転倒してしまいますから、
離すわけにはいきません。

となると殴られるのも仕方がないと受け入れるしかないのでしょうか? 

利用者さんが認知能力がなくて記憶力がある状態で殴る人はいないとして、
認知能力に問題があるとすると自分が殴ったことすら忘れてしまいますから、
悪意を相手に問うわけにもいきません。

ですが介護士が被害を受けたら仕事どころではなくなりますし、
肉体的に軽傷だったとしても精神的に動揺するのは間違いありません。

これも先ほどと同様、
それができると言い張る人が実際にやってどうやって避けるのかを実践してください。

それで一般の職員が納得するまで説明と対応例を示せるのならいいでしょうが、
おそらく無理でしょう。

暴力行為の利用者さんを職員に丸投げして何の対応もせずに、
「職員の声かけが変われば何かが変わるはずだ」とか、
「とっさに避けてよ」
などと適当な発言をする管理者は必要ありません。

③管理者に相談しよう

まず管理者が十分に認識しているか、
職員と同様に危機意識を持っているかを把握しましょう。

利用者さんの暴力行為がこの一か月で3回あったとしたら、
どういう状況であったのかを管理者に報告して、
どう対策を取ればいいのか相談しましょう。

まともな管理者であればその場にいる職員を集めて、
時間のある時に話し合いが行われるはずです。

利用者さんがどこまで暴力を振るうかにもよりますが、
利用者さんが他の利用者さんに暴力行為を行わないのが分かっているなら、
職員間の情報共有を優先することがまずは大切です。

管理者および経営者に対しては、
現場の問題を放置して最悪破綻するまえに、
職員のケアを行いましょう。

知らなかったでは済みません。

知らないという状況を作り出した管理者側、
経営者側に責任があるのだと認識するべきです。

普段から管理者と職員間でコミュニケーションが円滑に行われているにもかかわらず、
利用者さんからの暴行の話題が出ないなんてあると思いますか?

ありえませんよね? 

だから管理者は利用者さんへの関心を持ってもらうのが大切ですが、
同時に職員へのケアも行いましょう。

上から目線の、
現場のミスを指摘するだけの管理者なんて現場は求めていません。

自分の意見ばかりを通していないで、
現場の意見を尊重して現場に任せたり、
時にフォローするような柔軟性を持っていただきたいと思います。

あと家族に話はどこまで行っているかも確認しましょう。

まったく今まで暴力行為がなかったとしたら、
現状を受け入れない可能性もあります。

だとしても、
家族に話を伝えることは会社として取り組むべき問題です。

介護士側がまっとうに仕事をしているのに被害を受けている現状を家族に理解していただくことが、
今後の対応を左右します。

④証拠を残そう

管理者が危機意識を持っていればそれに越したことはないですが、
危機意識を持ってくれないのであればなおさら、
利用者さんの日々の記録を残すようにしましょう。

どういった時に暴力行為に及ぶのかを分析するためには、
利用者さんの日々の行動や発言から見ていくしかありません。

特定の職員に対してのみ暴力行為に及ぶのか、
それとも男性職員に対してのみなのか、
それとも女性職員で自分よりもかよわいと思った職員にだけ行うのか、
誰も対応できないほどの状態なのか。

介護士に被害が出たら写真を取ることも大切です。

文章だけではなく写真を残すことで、
証拠としての資料価値が高まります。

⑤どこまでされたらどうするかを明確にしておこう

ここまでくると、
あなたはどこまで我慢できますかという話にもなるわけですが、
利用者さんの暴行で顔に痣ができても、
会社が3か月経っても動かないなら転職活動しようとか、
その利用者さんの顔も見たくないと思ってしまったら転職しようとか、
管理者はもちろん、
その上に投げても現場で何とかしろというだけで話が進まなかったら転職活動をしようとか、
暴行を受けた翌日に病院に行かなくてはいけないのにその配慮がまったくなくて、
普通に出勤するように言ってきたから転職を検討しようとか、
あなたの行動するリミットをそれぞれ想定した方がいいでしょう。

どこまでされたらどうしようとか、
他の職員も含めてどこまでの状態になったらどうしようと考えることが大切です。

⑥複数人で対応しよう

一番現実的なのが、
その利用者さんへの介助をする場合は複数のスタッフで対応するということでしょう。

複数人で対応することで被害を抑えることが出来ます。

複数の職員が対応することで、
証言を複数にできるため信ぴょう性が増します。

必ずしも暴力行為が発生しそうな状況で複数の人員を割けるかという課題は残りますが、
現実的な対応策としては一番効果的です。

亜流となりますが、
自費で追加料金を貰うことも検討できるといいですね。

ご家族にも問題を認識してもらって、
お金で解決できるのであれば、
キーパーソンに説明と理解を得た上で
「自費で追加料金を貰う」
という対応ができるかもしれません。

今いる職員に手当を出すであれ、
その利用者さん専用のスタッフを毎日8時間来てもらえるようにするなどして、
人員が増えれば問題が解決に向かうかもしれません。

⑦退職しよう

管理者に相談してもダメ、
家族も対応を投げてしまっている、
管理者の上も丸投げするだけとなったら、
退職するしかありません。

チームワークにも限度があります。

他の利用者さんに被害を与え続ける利用者さんが退去となるなら、
職員に暴力行為をしつづける利用者さんが退去とならないのは不公平です。

利用者さんの個人の尊厳を介護の大原則で上げる以上は、
介護士の人権も同時に保証してほしいものです。

強調しておきますが、
介護士は今、人手不足のためどこにでも転職できます。

利用者さんの暴力行為を放置しているような現場で働き続ける義務はまったくないどころか、
肉体的、精神的に疲弊してしまうため、
害悪ですらあります。

万策つきたら退職しましょう。

あなたの心身の健康のために。

いかがだったでしょうか。

私自身は、
排泄介助時に利用者さんから手が出たことはありましたが、
パンチだったわけではありません。

他職員さんも、
利用者さんにされたと言っていた人もいましたが、
「日常」という状況ではありませんでした。

なので改めてツイッターやブログで他の方の話を見て、
胸が苦しくなりました。

暗い話が多くてナーバスになる今日この頃ですが、
あまりにも否定的な話ばかりを吸収していても、
気持ちまでも落ち込んでしまいます。

ある程度メディアの情報を入手したら、
一旦情報を遮断するなどONとOFFを使い分けていきましょう。

お疲れ様(^^♪