介護士ですら向いてない人はクズなのか?

介護職は、仕事としてやらなくてはいけないことがあっても、
それは職員ファーストでできる事と、
利用者さんのペースを伺いながら利用者さんにしていただかなくてはいけないことの二つがあります。

職員の意思のみで行えることは職員がどれだけ効率的に仕事ができるかにかかっている一方、
利用者さんにお任せしなくてはいけない部分に関しては、
どのように声かけするかで時間がどれだけかかるか変わってくるので、
職員は自身の処理能力に加えて利用者さんごとの個性を把握しなくては仕事は終わりません。

新人はどうすれば効率的に仕事ができるか分析できないなか、
先輩からプレッシャーを受けたりいじめられたりすることで
「自分は介護職に向いていないのではないか」
「合わないのではないか」
と悩んでしまい、
離職してしまうという残念な流れがあるといいます。

いじめられて離職するのは仕方ないにしても、
どのようなプレッシャーを受けたかをしっかりと自己分析して、
どう対応していくか考えて実践することは今後仕事をしていく上でとても大切です。

業務が切迫して「使えない新人」に非難と悪意が集まってしまう残念な職場だとしても、
本当に貴方が介護職に向いていないのか、
何が問題なのかを明らかにすることで職場の先輩が正しいのか、
職場環境が問題なのか分かってくるはずです。

なお介護職に合わないといって、
あなたに価値がないと決めつける人とは距離を置きましょう。

世の中に仕事は沢山あって、
あなたが本当にしたい事、
あなたが得意な事、
あなたがこれなら頑張ってもいいかなと思えること、
あなたが楽しいと思えることから自分でもできる仕事が徐々に見えてくると思いますが、
働き始めた時点でそれを実感するのはとても難しいでしょう。

だから最初は理不尽な現場でなければ全力で仕事にコミットして、
自分のできることをできるだけ増やしていくことで、
自信を付けてください。

向いてないと思う理由を分析して、
できないから向いていないのか、
できるけれどもまったくやりたくないから向いていないと思っているかで、
あなたが今後するべきことがガラリと変わるからです。

では貴方が合わない、向いてないと思った原因は何でしょうか?

まずそれを明確にしましょう。

原因① 個人の資質
【業務を他職員の期待する速度でできない場合】
【利用者さんから信頼を得られない場合】
原因② 自分以外の問題
【お局さんなどによる不当な圧、いじめ】
【指導担当により指導方法が変わる】
【管理者、会社の方針に妥当性がない】
原因③ 介護職という職種自体に自分が合わない
【潔癖な気質である】
【神経質な人】
【短気な人】
【利用者さんを好きではない】
【その他】

原因① 個人の資質

割り振られた業務を想定内のスピードで、
十分なレベルでこなせていないことから他職員、先輩、上司から指摘、叱責され
「向いていない」と思うケースと、
利用者さんから信頼をある程度得ていない、得られないケースに分けられます。

【業務を他職員の期待する速度でできない場合】
業務にはそれぞれ最低限ここまでに行ってほしいという時間があり、
利用者さんが失禁してベッド上が汚染してしまい対処に追われたため時間通りできないとか、
利用者さんに特変があり緊急対応で食事どころではないとかはありますが、
毎日毎回転倒される利用者さんでない限り、
業務が遅れてしまうのは職員の対応能力にも問題があるのではと他職員は思うものです。

入ったばかりの新人ですと、
利用者さんにどこまで関わったらいいのか分からない、
どこまで援助していいのか分からない、
どう声かけしていいのか分からない、
利用者さんが快く介助を受け入れてくれないなどで戸惑うことばかりで、
時間があっというまに経ってしまうはずです。

先輩職員が「簡単に」お声がけしているように見えるのに、
自分がするとうまくいかないということもあるでしょう。

まずは先輩がしていた方法で援助してみましょう。

うまくいったならその方法を続ければいいですし、
うまくいかないのなら、言い方を変えてみる、
相手の興味を十分にこちらに向けていないせいなのかなど、
声かけの方法を見直しましょう。

利用者さん自体に何か気になることがあって職員に気が向かない場合もあるので、
時間を置いて対応するのも手です。

それでも介助ができない場合は、
先輩に「自分がこうやったけどうまくいかなかった。先輩はどうしてうまくいくんでしょうか?」
と聞いてみましょう。

何かしら返答を頂けるはずです。

次に自分が出来ないことは何なのかをリストアップして、
どれから解決していくか決めましょう。

分からない場合は先輩に相談しましょう。

自分がやらなくてはいけないことがそれぞれ、
「こうすればこれくらいの時間でできるはず」
とイメージができるようになれれば仕事は早くできるようになります。

想定外のことが起きて遅れてしまったら次からはそれも考慮すればいいのです。

介護職は利用者さんがいて初めて成立する仕事なので、
利用者さんの尿失禁や便失禁、弄便や緊急対応など想定外のことが時に起こります。

なので職員はそれらを踏まえて早めに行動するものですが、
職員の中には仕事の優先順位が色々とおかしい人がいます。

時間帯、状況によってこれをしなくてはいけないというものが現場にはあるはずですが、
いつまでたっても帰ってこないとか、
利用者さんが消えたなら離設の可能性もあるため探さなくてはいけませんが、
消えた職員を捜索する時間はありません。

もしあなたが
「利用者本位だから利用者さんにどれだけの時間をかけても、
他の業務が遅れても構わないのだ。
それが介護というものだから」
という認識だとしたら、
自分の介護観を他の職員さんに伝えてください。

そうとう度量が広い現場でない限り、
一から十まで反論されるはずです。

【利用者さんから信頼を得られない場合】
次に利用者さんから信頼を得られなかったため、
クレーム、介助拒否になった例を紹介します。

それは私が施設に入職した当初、
認知能力が問題なしの男性の利用者さんの点眼をしなくてはいけなかったのですが、
人様の点眼をしたことはなかった上に、
その方があまり上を向いていただけず、
3回連続で点眼を失敗してしまったため、
嘆息した利用者さんは他の職員を呼んで、
私はその方の点眼を数か月間できない日々を送りました。

今からして思えばその方の点眼をするためには下まぶたを指で押さえる必要があったわけですが、
教わっていなかったのか教わろうともしなかったのかできずに終わり、
それから他の人に点眼をお任せするしかなくなりました。

その方以外にも点眼しなくてはいけない人が何名かいて、
他の方で何百回と実施することでさすがに自信がついた私は、
その方への点眼をあるタイミングで開始して、
ドキドキしながら成功した時、
その利用者さんから
「上達したね」
と誉め言葉を頂いた記憶があります。

このように認知の問題ない利用者さんは職員があまりにも分かっていない、
できていない場合は
「やめてくれ」「変えてくれ」
と言える能力がありますし、
そもそも何らかの業務をするにあたって何に注意しなくてはいけないのか、
しっかりと把握しないで当たっていたことに問題はあるわけで、
「利用者さんとのコミュニケーションが十分に取れていれば、
小さなミスであれば利用者さんも許していただけたはず」
と当時の生活相談員もそう言っていました。

クレームに繋がるのは信頼関係ができていないからだと、
身をもって経験しました。

認知に問題なく、
クレームが言える利用者さんであればこのように自分の意思を表明できますが、
では認知に問題がある方の場合はどうでしょうか?

利用者さんを怒らせてしまっても、
一時間もしないで忘れてくれるだろうと見越して不適切な援助をしてはいませんか?

例えば決められた時間に排泄や入浴介助などを迅速にできたとしても、
利用者さんを怒らせてはいませんか?

利用者さんは入りたくもないお風呂にむりやり入れさせられれば、
言葉で「嫌だ」と言われたり、
態度で拒否されたりします。

それを無視して排泄、入浴させていませんか?

体を清潔にすることは利用者さんの意思や尊厳よりも大切な事でしょうか?

もし貴方が利用者さんを怒らせつつも入浴させていて、
しかも入浴できたのだから問題ないと思っているのだとしたら、
他の職員にその方の入浴介助をどうやっているのか聞いてみてください。

貴方がしていることと同様にしているのか、
それは職員の対応方法として問題ないのかもう一度考え直してください。

ご利用者さんの認知能力がもし問題なかったらどうなっていたか、
ご家族さんが見ていても同様の対応をしたのか考えましょう。

貴方はご自分がしている介助方法が本当に正しいと思ってしているのでしょうか?

そうしないとできないから仕方ないと思ってしているのでしょうか?

他にもっと方法があるのではと考えたことはありますか?

利用者さんの信頼を得るために、
コミュニケーションを取ることは大事です。

ですがその方の介助をする際、
どのようなやり方が妥当か、
そして利用者さんが安心して任せてくれるか他の職員さんに聞いたりして情報を集めましょう。

適当にしていて信頼されるはずがありません。

それは言葉がいえない利用者さんでも同様です。

利用者さんはされたことは忘れても、
されて嫌だと思った感情は残るといいます。

利用者さんから嫌われないようにしましょう。

原因② 自分以外の問題

【お局さんなどによる不当な圧、いじめ】
自分に問題はないにも関わらず、
先輩からプレッシャーをかけられたり、
いじめを受けたりした場合はすぐに信頼できる同僚、先輩、上司に相談しましょう。

同じようなことが起きているか、
自分に非があるのか他の人の意見を聞いて、
自分に非がある場合はそれを直せばいいし、
自分に非がないのにプレッシャーやいじめを受けているのなら上司、先輩などに相談をしましょう。

上司もこのご時世で新人さんに辞めてもらいたくはないので親身になって対応してくれるはずです。

ちなみに私も現職場で入職当初いじめにあっていたそうです。
「そうです」というのは自分が認識していなかったからなのですが。

私はまず仕事ができなかったので、
仕事をしっかりとこなせるようになることを第一に考えていましたし、
他の職員さんとのコミュニケーションは十分に取れていなかったとは思いますが、
徐々に慣れていくことで少しずつ利用者さん、職員ともコミュニケーションが取れていきました。

後になってその話が飲み会で出る度に、
「当時の生活相談員から、利用者さんのクレームが来ていることを告げられる日々にプレッシャーを受けていたから、
他の職員からのいじめなど知ったことではない」と返答しています。

話を戻しまして、
上司や先輩などに相談しても改善しない場合は、
転職活動を始めましょう。

いじめが放置されるような現場、お局さんが好き勝手にしている現場に、
いつまでもいる義務はありません。

まともな会社はほかにも沢山ありますし、
今より給与が高いところを探すこともできます。

転職活動をしながら仕事を続けることで精神的な負担は大幅に減るはずです。

なお転職活動に自信がなかった私は人材紹介会社を使いました。

企業選び、履歴書、職務経歴書、面接対策など、
自分でするのは多大なエネルギーがかかります。

人材紹介会社はそれらをフォローしてくれるためとてもありがたかったです。

【指導担当により指導方法が変わる】
これは指導担当の間ですり合わせがされていない、
ケアの統一がされていないケースですので、
指導担当のどちらか、あるいは他の先輩職員、上司に相談しましょう。

何らかの回答がもらえるはずです。

【管理者、会社の方針に妥当性がない】
意義のある改革や方針ならいいのですが、

非効率的な業務の割り当て、
調査を職員に依頼しておいて、結果を提出してもその後のフィードバックがない、
評価制度の不透明さ、
職員への信頼が見られない叱責など、

管理者・会社への信頼が右肩下がりするような職場で、
貴方がスキルアップできることは何でしょう。

それは会社、管理者の方針には問題があり、
職員のモチベーションを下げるだけで何ら方針にメリットはないことを、
管理者、さらにその上の上司を説得することです。

何度改善しなくてはいけないと伝えても変わらない場合は、
貴方ができることをしつつも転職活動を始めましょう。

明らかに改善できることが分かっていつつも変わらない職場に居続ける意味はありません。

原因③ 介護職という職種自体に自分が合わない

【潔癖な気質である】
手に便や尿が付着しただけで気が動転してしまうような人は、
多分訓練しても慣れることはないでしょうから、
介護士以外を選ぶことをお勧めします。

排泄介助時に使うグローブ(ディスポ)は薄手のプラスチック素材のため、
穴が開いてしまうことはよくあります。

便の時は二枚使いでやればいいかもしれませんが、
それ以外でも、
便失禁でベッド中が汚れているとか弄便で手すりまで汚れているとか、
嘔吐によりベッドシーツや衣類が汚れているとか、
様々な場面に遭遇しますので、
「どうしても便に触りたくない。服に便が付くのも耐えられない」
という人は職種を再考するのをお勧めします。

【神経質な人】

こうあらねばならない、
といった自分の中での確固たる考えを持つことは尊重したい所ですが、
それが職場のルールや利用者さんのペースを乱すようだと、
話は変わってきます。

利用者さんのペースはこちらに合わせてくれる人に関しては、
こちらのペースでできますが、
利用者さんのペースに合わせなくてはいけなかったりすると、
それが耐えられないととてもストレスが溜まってしまいます。

神経質な人は細かい部分にとらわれやすいため、
利用者さんの些細な無駄な動きに苛立ってしまったり、
介助を始めてしまいがちです。

待てば利用者さんはその動作ができるにも関わらず、
職員の都合が優先されてしまうと自立支援が達成できなくなります。

自分のポリシーやこだわりが本当に現場でも押し通すべきことなのか、
他の職員や先輩に相談しながら、
変えられる所はどんどん変えていきましょう。

自分の考えや行動を変えていける人の方が、
現場では柔軟性がある人として重宝されますので、
訓練と思って頑張りましょう。

【短気な人】

利用者さんは何度も同じことを伝えなければ理解してもらえません。

理解してもらえたとしてもそれを覚えているとは限りません。

理解してもらえない場合もあるでしょう。

短気な人は何度も同じことの繰り返し、
一つの作業に対して異常に時間のかかる利用者さんにイライラしてしまいがちです。

自分が短気だと思ったら、
待っている時間帯に何かできないかを考えてみましょう。

次にしなくてはいけない事を思い浮かべてみるとか、
今までの事で振り返るべきことを見返してみるなど、
気持ちを切り替えることで短気が一時的に解消されるかもしれません。

【利用者さんを好きではない】

人と接することが苦手とか、
コミュニケーションに自信がない人は、
特に最初の数か月間は苦労すると思います。

利用者さんと今まで触れ合った事のない人が苦労するのは当然ですが、
さらに利用者さんに対して負の感情を持っていた場合、
とてもストレスフルな生活になるのは間違いありません。

利用者さんに対して好感情を持っている職員が接するならば、
利用者さんも笑顔で返してくれますが、
利用者さんに苦手意識を持っていたり、
嫌いな感情を持っていたりすると、
自然とそれが態度に出てしまう瞬間がありますから、
その瞬間を利用者さんは敏感に察して、
「この人嫌だな」
と内心思って援助を拒むようになったりしがちです。

負の感情を持っているのは仕方ないとして、
なぜそう思うに至ったのか、
ではどうすればいいのかを考えていきましょう。

苦手意識に関しても同様です。

自分の何が足りないから苦手なのか、
どうすれば意識を変えられるのかを考えていきましょう。

【その他】

給与の問題や夜勤ができない、
育児や介護があるためフルタイムで働けなくなった、
腰痛、利用者さんからのセクハラ、暴行などで業界自体やめたくなったという方には、
もしかしたら働く現場を変えることで解決できるかもしれません、
とお伝えしておきます。

例えば特別養護老人ホームや有料老人ホームで職場の人間関係で悩んでいて、
介護職を嫌いになったわけではないけれどいじめを見るのも嫌になったとしたら、
それは訪問介護に行けば解決できるかもしれません。

なぜなら現場はそれぞれの利用者さんのご実家で、
職員は基本的に自分ひとりですから。

「訪問介護の方が人間関係に関わらなくてすむから気楽でいい」
という職員さんもいます。

改めて、自分の辞める理由を考えてみてください。

ここまで個人の資質、自分以外の問題などで合わない理由を挙げてきましたが、
どうだったでしょうか。

何が問題なのかを認識すること、
次にどう解決するかを考えるのは一筋縄ではいきませんが、
これら問題発見能力、問題解決能力は仕事だけではなく人生においても大いに役立つスキルなので、
一つ一つ問題を切り分けて解決していってください。

解決方法が分からなければ先輩を頼りましょう。

先輩も後輩が真剣に頼ってくれれば親身になってくれるはずです。

なお、介護職に向いている能力は何なのかについては、
別記事で書いていますのでそちらをご覧ください。